獅子座の今年の占い

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たとえば富士山は、
初めて見てもすぐ、
「富士山だ」とわかります。
始めて見て、宿に泊まり、
翌日もう一度見上げても、
「あれが昨日見た富士山だ」
とすぐ、わかります。

でも、これがたとえば
京都の比叡山
となると、
なかなかそうはいきません。
というのも、
周囲にたくさん、
それほど高さの違わない山があるからです。
通勤や通学で毎日同じ道を通い、
同じ角度から繰り返し見ているうち、
だんだんと
「これぞ、紛う方なき比叡山」
と認識できるようになります。
そのちょっととがった山頂が
どう見ても比叡山
に見えてくるのですから、
不思議なものです。

このように、
「毎日繰り返し経験しているから、
難なく解るようになる」
ということは、
けっこうたくさんあります。
私たちが日常的に「積み重ねていること」は、
自分で思うよりもはるかに、
密度が濃いものなのです。

ある雑誌の記事に、
「本を書きたい人のためのアドバイス」
が掲載されていました。
アドバイスをしているのは勿論、
何冊も本を出している、
著名な書き手です。
いくつかのアドバイスの中に、
こんなものがありました。
「あなたの知っていることを書きなさい」。

当たり前のことのようですが、
実は、そうでもありません。
なにしろ
「本を書く」のですから、
できるだけ立派なことや、
誰も知らないようなこと、
それを知っていることを自慢できるような
深遠なる知識を書きたくなるのが人情です。
ですが、
色々な本を読み、資料を集め、
背伸びしてスゴイことを書こうとすると、
たいてい、だんだん書けなくなります。
書いても、
何か力のこもらない、
説得力のないものになりがちなのです。
引用の羅列、雑多な知識の箇条書きのようになり、
自分でもだんだん心もとなくなって、
途中で筆を置くことになります。

「知っていることを書く」とは、
自分の経験や知識としてこなれ、
ちゃんと血肉になっていることを書く
ということです。
それであれば、魂がこもります。
もちろん、説得力を増すための資料をあつめ、
自分の論を裏付けてくれる引用を提示することは、
とても大事ですし、役に立ちます。
でも、核になるのは「知っていること」です。
知っていることが「柱」になっていなければ、
肉付けをすればするほど、
全体の形を保てなくなって、
グズグズになってしまうのです。
柱や骨組みの強度は、
それが「書き手である自分自身」と
どれほど強く結びついているか、
という点に置かれます。
自分のなかにちゃんとあることが柱になっていれば、
どんなに引用を重ねても、
豊かな世界を生み出すことができるのです。

2020年、
獅子座の人々は
「自分が知っていること」
を軸として、
様々な活動を広げて行けます。
この「知っていること」は、
たとえば前述の「比叡山」のように、
毎日の積み重ねで
「解るようになったこと」
に似ています。
これまで鍛えてきた血肉を通して、
新しい活動を生み出していける、
ということです。
「やってきたこと」という土壌から、
新しい芽が出てきます。
「すでにできること」の延長線上に
「もっとできること」が広がります。
世の中には、一足飛びに
「何か別のものになる」
ことを夢想する人も少なくありませんが、
非現実的なのです。
でも、
階段のステップを一つも飛ばさずに昇っていった先に、
予想外の美しい景色が広がることは、あるのです。

これはありふれている、とか
こんなことは誰でもできる、とか、
そんなふうに思っていても、
その積み重ねの豊かさは、
実は、新しい可能性に溢れています。
「この役割」
「この作業」
のもう少し先に進むことを考えるとき、
非常に大きなプロジェクトが立ち上がる可能性もあります。

2020年の獅子座の人々は、
2017年頃から、
または2008年頃から続けてきたことの先に、
かなり強力な「役割」を創りだすことになります。
あなたがそれをやって見せたとき、
周囲は「もっとやって!」というふうに、
新しいニーズを抱いて、
あなたに注目することになるでしょう。
たとえば、
「タピオカ」や「ティラミス」のように、
まったく新しい食べ物が流行することがあります。
人々はそれを見つけるまで
それを欲しがる自分を知りません。
更に言えば、
「タピオカ」や「ティラミス」は、
ある世界の人々にとっては、
流行るずっと前から
珍しくも何ともないものだったはずです。
自分にとってはありふれたものでも、
「その先」に、
誰かにとってきらめくものが生まれる
という現象は、
確かに起こり得るのです。

2020年、獅子座の人々は
これまでの自分の積み重ねの中から、
階段のステップを飛ばさずに進んでいき、
一つのポジションを確立できます。
このポジションは、
自他に強い影響を与えるようなパワフルなもので、
今後の人生の土台となるような
確かな「知見」をくれるはずです。
それは、あなたが例えば本を書くなら、
その話の「柱」とできるようなものであるはずなのです。