獅子座の今年の占い

アーカイブ記事

「しばしば私たちは壁につきあたります。それはあまりに高くて、越えることができず、私たちはただ立ち止まってその壁を見つめます。
合理主義は「これを越えるのは不可能だ、別なところに行こう」と言います。
しかし(中略)彼はそこに行くべきだったのです。
たぶん、そこにとどまり、根をはやし木のように成長するべきなのです。時とともに。障害物を乗り越えるべきなのです。壁を越すまでに成長すべきなのです。」『夢分析・?』C.G.ユング(人文書院)より

引用が長くなりました。
これは、
2018年の獅子座の人々が
越え難いような高い壁にぶつかる
という占いではありません。
そうではなく、
この文章を読んだとき、
すくすくと伸びた大きな木が、
壁の向こう側を悠々と見下ろし
豊かな実を結んでいる、
その光景が思い浮かんだのです。
そこで、
ああ、これは
2018年の獅子座の風景だ、と、
私が感じただけなのです。

2018年、獅子座の人々は
まるで庭園のような場所にいる
というふうに思えます。
庭は、誰かが作ったものです。
いわゆるガーデナー、
「庭師」と呼ばれる人々が
一つの美しい世界を思い描きながら
熱心に創造したのが、庭です。
庭は自然の一部ですから
思い通りにはなりません。
土の性質、その土地の気候、
日当たりや水はけなど
たくさんの条件と相談しながら
可能性を引き出すように
庭の美を模索します。
そこでは決して、簡単に
「ここでは薔薇が咲きにくいなら
別の場所に引っ越そう」
というわけにはいきません。
「土を全部とりかえて
建物も壊してしまおう」
というわけにもいきません。

私たちは日々、
様々な問題に出会います。
昨今では、そうした問題を
できるだけ早く、
できるだけ合理的に、
できるだけ簡単に片付ける
ということが求められます。
でも、それでは物事が
根本的にたちゆかない場合もあります。
たとえば、
ちいさな子供が靴紐を結ぼうとして
なかなか結べずにいたときに
苛立った大人が
代わりにさっさと結んでやる
ということを繰り返していたら、
その子はぜんぜん、
紐を結べるようにならないでしょう。
一夜漬けで試験にパスしても
その知識を一晩で忘れてしまえば
なんにもなりません。
「できるだけ早く、簡単に」
では解決しないことは
そんなふうに、たくさんあります。

「これを越えるのは不可能だ、
別なところに行こう」
というのは、
現代的で、合理的で、
賢い策かもしれません。
あるいは、この世の中には
たとえば「ブラック企業」のように
しがみつくに値しない、
劣悪な環境も存在します。
ですからこのたとえは、
どんな場合にでも当てはまる
ということではありません。
あるいは、
自分を傷つけるような環境から離れる
ということこそが
「置かれた環境に流されず、
自分自身のなかに踏み止まって
樹木として育つのを待つ」
ことに繋がる場合もあるはずです。

2018年、
獅子座の人々は
「楽園を作る」
ような季節の中にあります。
あなた自身がガーデナーで、
緑の指の持ち主です。
まわりに広がる環境や人間関係、
あらゆる条件と対話しながら
すくすくと成長を遂げ
越えがたいと思えた壁を
いつの間にか、越えてゆける
というような時間をすごせるでしょう。

これ以降、
あなたの生活や、役割や
あなたを取り巻く環境は
どんどん変わっていくはずです。
それにともなって、あなた自身も
じわじわと変化を遂げていきます。
ある場面ではあなたの苦労が増したようでも
結果的に、あなたを益することの方が
多かったりするかもしれません。
たとえば、
誰かの世話をすることになり、
世話のために生活のリズムが整って、
自分自身が健康になってゆく
といったことが起こるかもしれません。
あるいは、
子供を持ち、本を読ませようとして
図書館に通い、読み聞かせをするうち、
自分自身も読書の習慣がつき、
世界が広がってゆく
というようなこともあり得ます。
「だれかのため」
「役割のため」
「責任のため」
に始めたことが、次第に、
自分自身の財産になるわけです。

その世界の、その場所の、
その環境の前で、
「そこにとどまり、
根をはやし木のように成長する」こと。
吸い上げられる栄養がたくさんあっても
私たちはそれに気づかなかったり
拒否してしまったりする場合があります。
また、壁にガンガン頭を打ちつけるばかりで、
全く問題が解決しない
という状況に陥ることもあります。
でも、2018年のあなたは、不思議と
「身の回りにある、
滋養になるもの・水分」に
よく気がつくでしょう。
「これはもしかすると、
自分自身の抱えた慢性的な問題を
解決してくれるかもしれない」
と直観できるでしょう。
壁に頭をぶつけるようなやり方では
壁は壊れたりしない、
と解る場面もあるでしょう。
自分が成長してゆくだけで、
すぐにその壁が、壁ではなくなる
ということが
解ってくるかもしれません。

2018年、
家族が増える人、
新たに家庭を持つ人もいれば、
家を建てる人もいるでしょう。
逆に、実家から離れて独立したり
慣れた仲間たちの集団から抜けて
自分一人で活動を始める、
という人もいるはずです。
また、自分自身を活かすためでなく
周囲の人々を養うために
どう生きるべきか
を考え始める人もいると思います。
一方で、
このままの環境では、
自分のためにも人のためにもならない
と気づいて
新天地を探しにゆく人もいるかもしれません。
いずれにせよ
誰かのために、なにかのために、
目の前の環境から全てを吸い取って
壁を飛び越すのではなく、
壁よりも大きくなる、
という風景が
この時期の獅子座の人々の選択に
とてもよく重なる気がするのです。