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「人生」と言うとき、
それは、今よりも過去に重みが置かれているでしょうか。
それとも、未来を語る言葉のように聞こえるでしょうか。
若ければ若いほど、自分の「人生」は
未来を意味する言葉であるように思われます。
それでも、ティーンエイジャーのアスリートがメダルを手にしたときなど、
「今までの人生の中で一番嬉しい」と表現することがあるように、
どんなに若い人にとっても、過去は厳然たる「自分の人生」です。
どんな子供にも「今まで」があり、
それ自体が一つの人生なのです。
そうした、過去という名の「人生」を介して
深く結びついている人間関係というものがあります。
家族や親族、近所の人々、かつて深く関わった人々、
自分のこれまでの人生をつくる手助けをしてくれた人々。
あるいは、これまでの人生「そのもの」と言っていいような誰かがいた人も、
きっと、いるのだろうと思います。
そうした、過去によって強く結びついた人間関係を、
人は何らかの形で、
どこまでも背負っていくことになります。
こう書いてしまうと、なんだか人との結びつきが重荷になるように感じられるかもしれませんが、
決してそうではありません。
むしろ、人はそうした過去を共有する人間関係を心に背負い続けていないと
「世界」そのものとの結びつきを切断されたように感じる生き物なのではないかと思うのです。
私たちは、いつも未来に幸運を探しますが
私たちと世界を結びつけているのは
過ぎ去ってしまった過去に由来するいくつもの糸なのです。
2013年、あなたは自分自身を広い世界と分かちがたく結びつけている、
とても大切なものに時間と労力を注いでいくことになると思います。
自ら引き受けたくて引き受けるもの。
それを引き受けなければ、
自分が自分でなくなってしまうような気がするもの。
そういったものが、視野に入ります。
そして、それをごく自然に「引き受けて」行くことになるだろうと思うのです。
そのプロセスの中で
決して許せないと感じていた誰かを許すことができたり、
決して取り戻せないと思ったものを取り戻せたりすることも、
もしかしたら、あるかもしれません。
夢や未来を追いかけるとき、
私たちはトキメキや憧れ、冒険心を胸一杯に感じ、
どこまでも飛んでいけるような気がします。
でも、ふと、足元や後ろを振り返ったとき
そこに「なにもないのでは」と
不安になることもあるはずなのです。
2013年は、そうした「なにもないのでは?」という根の深い疑問に
ある種の答えを見つけることになる時期、
と言っていいかもしれません。
そこには決して「なにもない」わけはないのです。
あなたが紡いできた時間と、そこにまつわる人の姿があって
さらに、そのなかに、
あなたが自らの任務として「背負えること」が存在しています。
そのことがあなたと世界を、目に見えない絆でガッチリと結びつけ、
これによって、あなたはある種の安堵感、安心感、安定感を手に入れることになるでしょう。
これは、未来に対して守りに入る、というような意味ではありません。
そうではなく、
未来に向かおうとするときにふと感じる、
うそ寒いような空疎感を、もはや感じなくてもいいようにしてくれるような、
世界との根源的な結びつきを回復する、一つのプロセスなのだと思うのです。
2013年にスポットライトが当たるもう一つのテーマに
「修復」「回復」
が挙げられます。
長い時間の中で深く傷ついてきた部分、失ってしまった力、
使えなくなってしまった道具などを取り出し、
それを、ある種の知的な手段によって
蘇らせるようなプロセスが発生するのです。
このことは、2008年頃から少しずつ試みてきたことかもしれないのですが、
2013年になると、その動きがガツンと勢いを増します。
これは、あなたの健康に関する問題かもしれませんし
もっとべつの、生活における物理的条件に関することかもしれません。
いずれにせよ、弱った部分や壊れた部分に手をかけ、
新しい生命力を得るような出来事が起こるだろうと思います。
こうした作業には、最初はコストばかりかかります。
でも、犠牲を払ってでも回復したい力を
この時期、あなたは自分の中に、見いだすことになりそうなのです。
あるいは、人間関係や夢を「修復」する人も
少なくないかもしれません。
壊れてしまった、と諦めて、失ったことを認めようとしていた矢先、
枯れたとばかりおもっていた木の中に
まだ瑞々しい生命力が脈打っているのを
不意に発見してしまうのかもしれません。
「生きている」と気づいてしまったものを捨て去るのは
たとえそれが植物であっても、難しいことです。
2013年から2014年にかけて、
あなたはなにかしら、古く埃をかぶったものを
生き生きと「蘇生」させることになるのではないかと思います。