天秤座の今年の占い

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「生活感のない部屋」
「ホテルのような部屋」
に憧れる人も、たくさんいます。
一方、
「アットホームなペンション」や、
「昔懐かしい民宿」にも、
たくさんのファンがいます。
どちらを好むかは人それぞれですが、
天秤座の人々はどちらかと言えば、
スタイリッシュで洗練された世界を
指向する傾向がある、とされています。

2020年はそういう意味では、
少々「意に染まない」部分もあるかもしれません。
というのも、
2020年の天秤座のテーマは
「アットホーム」のほうにあるからです。
お正月はおこたでミカン、とか、
夏休みは海の家で西瓜割り、とか、
初デートは人気の映画、とか、
いわゆる「ベタ」な世界の方に、
なぜか視界が広がっているのです。
「ベタ」なものは、
外側から見ると退屈で、
ちょっと野暮ったいのですが、
中に入ってみると
「意外に快適」だったりします。
あるいは、その世界に特有のノスタルジーがあり、
人と人との感情が落ち着いて交わりあう、
ゆたかな「場」が形成されやすいのです。

「美」は、
個人の心の中で研ぎ澄まされ、
非常に抽象的な感動の世界に人をいざないます。
一方、ベタな世界の「和み」は、
多くの人々が自他の垣根を払って、
そこに心を置き合うことができます。
物事の境界線や論理性を重んじる天秤座の人にとって、
この事態はあまり、
居心地のいいものではないかもしれません。
でも、「人の心」がそこでどう動くか、
ということに注目したとき、
徐々に、あなたの心の中の風景も、
変わっていくだろうと思います。
なぜなら、天秤座の本質は「愛」だからです。

2020年、天秤座の人々は、
「愛」を、いつもとは違った切り口で見つめるでしょう。
それは「切っても切れないつながり」であり、
面倒でも一緒に連れていくものであり、
遠く離れても結びついているものです。
理屈では説明できない心情、
書面やルールでは管理しきれない思い、
そういったものが、
あなたを中心とした世界で渦巻くのです。

昨今では
「気の合わない人とは離れればよい」
「嫌な関係は切り離すほうが合理的だ」
という意見が一般的になりつつあります。
たとえ家族や血縁者であっても、
相手が自分に何らかの危害を加えてくるならば、
できるだけ「縁を切る」のが正しい、
と考えられています。
これは私も全面的に賛同するところです。
ただ、この「切り離し」が行き過ぎて、
時に「自分」までも
切り離そうとする人がいます。
他者に対して「許せないこと」が積み上がりすぎ、
自分自身も、許せなくなってしまうのです。

どこまでを許し、
どこからは許さないか。
これは、杓子定規に決められるものではありません。
絶対に切り離してしまった方がいい関係があるのも、確かです。
でも、2020年の天秤座の人々は、
これまでなら切り離していたけれど、
今はちょっと、時間をおいてみようか
という判断をする場面が
もしかしたら、増えて行くのではないかと思います。
「面倒だけれども、
まあ、一緒に連れていこうか」
というふうに、
曖昧さや複雑さを許容する「ゆるみ」が出てくるのです。
これは決して、悪いことではありません。
喩えるなら、この感覚は、
「ホテルのような部屋」に入り込んだ、
ささやかな「生活観」のようなものです。
少しだけ緩い部分、
ちょっとだけベタな部分。
今までならキレイに排除していたノイズを、
環境に、人間関係に、
少しだけ「容れる」ことで、
新しい地平が見えてくるのです。

自分から「切り離さない」ことによって、
他のものから「切り離されない」状況が生まれます。
これまでなら完全に遮断していたところを、
「少し距離を置く」くらいに留めて、
そこに、広がりが出てきます。
この作用の面白い所は、
「切り離そうとした相手」ではなく、むしろ
それ以外の人々への波及効果が強い点です。
一つのゆるみの中で、
多くの人が深呼吸できるようになります。
そこに、新しい人が参入する余地が生まれ、
新しい出会いがあなたの世界に
「入り込んでくる」のです。