山羊座の今年の占い

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ある若い研究者が、ヨーロッパに留学した際
以前から尊敬していた高名な学者に偶然、知己を得て、
その部屋に招かれました。
その高名な学者はかなり歳を取っており、
あまり外に出ることもなくなっていました。
古いアパートの書斎に閉じこもり、
孤独な生活をしていると聞いていたので
研究者はおそるおそる、彼の自室を訪ねました。

世間から遠ざかった寂しい独り暮らし、
というイメージを描いていた彼は、
書斎を訪ねてみて、その先入観を覆されました。
書斎で彼を出迎えたその学者は、
溢れんばかりの知識と好奇心に満ち、
世の中の動きにも敏感に反応し、
実に生き生きと「生きて」いたのです。
彼の頭には今も新しいアイデアやイメージがこんこんと湧き出ていて
そのあたたかな感情と新鮮で豊かな知性に触れ、
若い研究者は、狭い書斎を壮大な宇宙のように感じたのでした。

私たちの精神や感覚、感情は、
そとがわから、その有様を捉えることができません。
ごく華やかで活動的な生活を送っている人の心が
砂漠のように乾ききっていることもあります。
激しく動き回っている人の精神が混濁、停滞していたり、
じっと座っている人の魂が古今の時空を自在に駆けていることもまた
珍しいことではありません。
人里離れて自分だけの世界を作り、
「隠者」「仙人」のような暮らしをしている人が
前述の学者のように、自由な精神世界を生きていることも
ごく普通に起こり得ることです。
2015年の山羊座の人が「隠遁する」と言いたいのではありません。
むしろ、外形的にはどんな状態におかれようとも、
その「精神の宇宙」が、外の世界に向かって
大きく拡大する時間帯に入ろうとしている、
ということが言いたいのです。

過去2,3年の中で、
あなたはかつてよりもずっと多くの
「人との交流」の中に身を置いていただろうと思います。
人と出会い、人に会いに行き、集団に揉まれ、
そのなかから自分の道を見つけようとしていたのではないでしょうか。
人に力を借りたり、人に力を貸したりすることも、
大きな意味では、一つの「修行」だったかもしれません。
他者は理解しがたい存在であると同時に、
自分自身の鏡のような存在でもあります。
人に接し、人に踏み込むところに、
あなたはずっと、自分自身を発見し続けて来たはずです。

2015年、他者との交流は、
今までとは少しちがった段階へとシフトしていきます。
おそらく、ここ2,3年のような「密着」感が薄れ、
もっと自由に、仙人が空を行くように交際できるようになっていくのです。
これは「関係が薄れる」「孤独になる」ということではありません。
たとえば、本当にふかく解り合った親友同士であれば、
遠く離ればなれになって、何年も会わなかったとしても、
お互いに結びついていることを信じ、
目に見えない精神的な交わりを保ち続けることができるものだと思います。
つきあいが浅く、まだ解り合えていないときの方が、
側にいる時間を必要とするものです。
関係が強くなったからこそ、自由に交われる状態。
2015年のパートナーシップや人間関係は、
そういう状態に到達するだろうと思います。

その一方で、
あなたの内なる精神世界の躍動が始まります。
この時期は実際、「世間から遠ざかる」どころか、
むしろ、旅をして未知の世界にどっぷりはまったり、
「師」について勉強や研究に没頭するなど、
「外に出る」機会が多くなるはずなのです。
前述の例で言えば、「高名な学者」よりは、
「留学中の若い研究者」のような生活のほうが、
山羊座のこの時期の雰囲気に当てはまっています。
物理的に未知の世界に身を置くことも
「広い宇宙を旅する」ことの1つです。
でも、この時期の山羊座の人々は更に、
学者が自由自在に時空を飛び回ったような、
「精神の宇宙」のひろがりをも、体験することになるでしょう。

そこでは、古い方法論や小さな価値観にこだわる気持ちが、
どんどん薄れて、消えていきます。
新しいことへの警戒心が薄れ、
幼い子どもの言葉も、偉い科学者の言葉も
区別することなく透明な心で受け止められるようになります。
なにより
「このやり方でなくては成功できない」
という思い込みから解放され、
いろいろなやり方を取り入れる心の余裕が生まれるのです。
このことは、自分の強みに新しい可能性をもたらすだけでなく
他者への理解力が一気に高まることを意味します。
「もっと他のやり方もあっていいのかもしれない」
という発想は、自然に
他者の心を開かせるカギとなるのです。

2012年頃から、
未来に夢を描けないように感じられたり、
自分が向かって行くべき大きな方向性に自信が持てなくなったり、
将来のことを思い描くのが味気ないように感じられたり、
これからのことを悲観しきってしまったりしていた人も
少なくなかったのではないかと思います。

実際、私たちの抱く未来への夢や希望は、
厳しい現実に行く手を阻まれ、
シャボンの泡のように儚く消えてしまうもののほうが
ずっと多いのではないでしょうか。
夢を描いては夢に破れる、
という経験を子どもの頃から何度も積み重ねた結果、
夢や希望そのものが描けなくなってしまったとしても、
当たり前と言えば、当たり前のように思えます。

でも、2012年頃から2014年にかけて、
夢が味気なく灰色に見えていたのは
夢と現実のギャップに疲れていたから、では、
なかったのかもしれません。
たとえば、子どもの描く夢と、大人の描く夢は、
大きくちがっていると思います。
私たち自身が成長するに従って、
夢もまた、成長を遂げるものなのだろうと思うのです。
大人になれば、子どもの時の遊びは
それほど楽しく感じられません。
それと同じように、幼い夢が成熟した夢へと成長する、
そのプロセスの中にあったからこそ、
かつての夢が灰色に思えたのではないでしょうか。

2015年を境に、
山羊座の人々の夢と希望は、
明るい色彩を取り戻します。
未来はこんなふうにしたい、という光り輝く風景を
心に描くことができるようになりますし、
思い描くだけでなく、
それを現実に変えるべく、行動を起こすこともできるようになります。
大人の夢と子どもの夢の、もっとも大きな差は
それを実現する責任を負うかどうか
というところにあるのかもしれません。
2015年、山羊座の人は、
夢に終わらない夢を描く力を再生させることになるはずです。